· 

幼い頃の、クリスマスの日々。


 

おねえさんへ

 

そう、子どもの頃のクリスマスのことは忘れられない!

お部屋の電気を消して、ケーキの上のろうそくの光と

サンタさんの飾りの影なんかをみつめながら、

「きよしこの夜」と「おふとんないからイエスさま」をみんなで歌って‥‥。

赤ちゃんのイエスさまを想像しながら、

わらのおふとんはちくちくしないのかな?

なんて思ったりしてた。

歌い終わって電気を点けると、

おかあさんが火で熱くしたナイフをケーキに入れるの。

すると、ジュッ!とクリームが溶けて、甘くいい香りがあたりに広がった。

 

わたしの記憶では、いつも白の生クリームのケーキだったと思う。

生クリームの淡いピンクのバラと白のバラがのっかっていて、

バラの葉っぱは淡いグリーンだった。

わたし、大きくなっておかし作りをするようになってから、

このバラの花を作ってみたくて、クリームをしぼりだす口金を買って

(バラの花びらと葉っぱを絞り出す形のがあるんです!)試してみたけれど、

あんなきれいなバラの形はできなかったよ。

あっ、すごーくむずかしいんだって思った。

 

わたしいつも、あのピンクのバラがのっかっているところが食べたかったなー。

きっと、みんなそうだったんじゃない?

うちの庭のバラに似ていたよね。

わたし、あのバラがほんとに大好きだった。

 

いちごや桃のフルーツものってて、

スポンジの間にはいちごジャムのちょっと洋酒でのばしたのが塗られていて、

生クリームでデコレーションされてた。

 

バタークリームのはねえ、

いつかクリスマスケーキがとっても美味しかったってお手紙を

お菓子屋さんをやってたおばちゃんのところに送ったの、みんなで。

そしたら2個目のケーキが送られてきて、

それがバタークリームのケーキだったんじゃなかった?

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

今年のクリスマスもね、

パパとおかあさんとわたしとリンタスキーで

「きよしこの夜」と「おふとんないからイエスさま」を

歌ったの。ろうそくの光の中でね。

 

ちょっとだけ、調子っぱずれな感じのおかあさんの声が楽しくて

少し笑いをこらえる、というのは子どもの頃からかわっていないかな?

これは、おかあさんには、ナイショ。

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥