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NHK杯ー大阪ー2014 羽生結弦


 

おねえさんへ

 

そうよね。リアルタイムで見てきたからこその、結弦くんの人生への感動というものは

確かにあると思う。

 

あの事故は、彼が本当に神様に選ばれるに価する人間かどうかを見極めるための

試練だったのかもしれないと思ったりするのです。

あのシーズンの結弦くんには、これでもかこれでもかというほどのアクシデントや病気・ケガが次々と起こり、常に、普通だったら無理でしょう?これ、っていう状況だったの。

なぜ、結弦くんにばかりこんなことが立て続けに起こるの?と

彼のファンがみんな言ってたんだよ。

 

でも、彼はやりきった。どんなときも、決してあきらめなかった。

スケートの神様は思ったんじゃないのかな?

そこまで本気なら、ついていてやる。

思う通りにやれ、と。

 

 

2014中国杯の次の、NHK杯のあとに書いた文章を載せるね。

このときの演技は全く精彩を欠き、フリーが終わった時点では、

グランプリファイナルに結弦くんが出場できることになるなんて予想もできなかったの。

 

 

NHK杯ー大阪ー2014 羽生結弦

 

中国杯のケガで出場も危ぶまれていた大阪でのNHK杯。

実に痛々しかった結弦くん。

 

6分間練習のときから「ああ、 今日は・・。」と、よろしくない予感がしてしまうほど、

この大会の結弦くんにはいつものオーラが感じられませんでした。

演技も精彩を欠き、傷が癒えず練習期間も少なかったというだけではなく、

心が弱っている感じが見て取れて、

この人でもこんなふうになることがあるのかと、

あらためて中国杯でのケガとショック、

その後の世間での騒ぎの大きさを思いました。

 

いいの、いいの、満足いく演技ができなくったって当たり前なんだから。

こうやって出場するだけだってすごいことなんだからと、応援しつつ、祈り…。

けれど、表彰台に登れなかった結弦くんの姿が不憫でならず…。

本当は4位に入ったことだって、すごいことなんですけどね!

 

4位でもバルセロナへの切符を手に入れられたのは、なんてラッキー!と思ったけれど、

その後のグランプリファイナルでのサプライズを思えば、

これは最初から決まっていたことだったんだなあ、

思わずにいられません。

 

このNHK杯では、ショートもフリーも満足いく演技ができなかった結弦くん。

エキシビションの「花は咲く」は心にしみました。

思いをこめて、ていねいにていねいにすべる結弦くん。

 

少女の渡してくれた淡いピンクの花。

希望の花。

けれど、自分の行く場所はまだはるかに遠く、確かなものとも思われない。

信じきれない自分がいる。

けれど、

信じられなくてもこの道を行こう。

 

そんな等身大の姿を見せてくれた気がしました。

それまでの強い結弦くんに感じたことのなかった、

 

人間的な魅力を感じもしたのでした。

 

 

オスカー・ワイルドといえば、

わたしもこれまでの人生で一番大変だった時期に、

とてもお世話になった方からワイルドの言葉をプレゼントされたことがありました。

 

We are all in the gutter, but some of us are looking at the stars.

 

私達はみんなドブのなかにいる。だが、そこから星を見上げている人もいるんだ。