かおっちゃん、こんにちは!
ロステレ杯中は、緊張でおたよりめいたものを書く精神的余裕もありませんでした。
そのかたわら、頼まれてもいないのに、こちらの情報を見つけるたびに、
急いで訳して送らなきゃ、なんて思ったりして。さて、やっとゆっくりおたよりします。
大会中、カナダのモモ博士のブログを訪ねました。
羽生くんは今、これまで以上に闘志を湧かせている、人が想像する以上に。
先の勝負の悔しさが起爆剤となって、彼をしてそのあと何倍にも大きな勝利につなげるのだ、というお話で、羽生くんのこれまでの軌跡を知らないわたしは、
丁重に拝読いたしました。
そして昨日、今度はフランス人フォーラムを覗いて、はっとしたの。
ロステレのフリーのとき、たしかにひとりのフランス人(たぶんスケーター)が
言っているじゃない?
「彼のスケーティングになにかいつもと違うエネルギーを感じるわ。2012年の若いハニュウみたいって言ったらいいかしら、さらに熱情的というか」って。
どちらもこれまでの羽生くんをしっかりと見てきた方たち。
今シーズンの羽生くんについて、モモ博士が予感されたことを、フランス人も、
モスクワでの羽生くんにはっきりそれを確認した、ということかもしれません。
かおっちゃんも、被災後の羽生くんをみたときに、彼のスケートにそれ以前とまったく違うものをみた、羽生くんが変わっていた、といっていたけど、
羽生くんはもっと強くなるために、
何度も脱皮して新たに生まれかわっているのかもしれないね。
わたしたちの前では、あんなにやさしそうな笑顔ややんちゃな表情も見せたりしながら。
話は一見違うようですが、
夕食を食べながら、ジュジュが市川雷蔵のことを延々と語っているわけです。
ところがね、話を聞きながら、なぜか、わたしの頭の中では市川雷蔵の顔と羽生くんの顔が行ったり来たり、ダブったりしていたの。
市川雷蔵といったら、「眠狂四郎」、「大菩薩峠」、「炎上」とかで、誰もよせつけないような超カリスマ性をもった大役者さんでしょう。
わたしももちろん、ここ2、3年で大大大ファンになったのですが。
(どうして、あなたはいつもこう遅いの?って言わないでね!)
それで、映画で雷蔵といっしょに仕事をした人たちがみな言うらしいの。
当時の大映のスターは撮影前のお化粧をみな自分でしていたのだけど、
雷蔵はその自分の化粧時間、絶対ほかの誰も部屋に入らせなかったと。
そして、化粧室に入るまでは、どこにでもいるような普通の人の雰囲気の、
穏やかでてらいのない彼が、いったん化粧をして部屋を出るや、
そこにはさっきとはまったくの別人がいるのだった、という話。
羽生くんが曲と自分の世界に入ろうとする瞬間、
わたしたちも息をとめて、心の中では固く目を閉じたようになっている。
そしてそのあとは、強い磁石にすいつけられるように、動かされていく。
羽生くんは、雷蔵と同じプロセスを、透明な化粧部屋で数秒のうちにふんでみせる。
氷上で曲の1音符目をまつ時、あるいはオータムクラシックからモスクワ、
これからのシーズン中にも、きっと。
そして、わたしたちは、あらたに強靭にしなやかになった、
そのときの羽生くんにしかできないショパンやSEIMEIに遭遇する、ってことなのよね。
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