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羽生結弦くん ロシア大会フリー 

男子フリーで演技する羽生結弦=モスクワ(共同)
男子フリーで演技する羽生結弦=モスクワ(共同)

 

おねえさんへ

 

今日のフリーはがんばったね!

失敗もあったけれど、冒頭4回転ルッツの成功もそうだし、

常に挑戦し続ける結弦くんの姿勢に、ただただ感動します。

いい顔してたしね。

 

2年前のNHK杯やグランプリファイナルのノーミスの演技は、

それはすごいものだったけれど、

今年のSEIMEIには、結弦くんを取りまく空気に強いエネルギーを感じる。

ムダな動きがなくなって、手足の動きがゆっくりと、

逆に力強さを感じさせるように変化していて。

 

おねえさんのお便りの中に、お能のような、とあったけれど、

結弦くん、2年前に狂言師の野村萬斎さんを能楽堂に訪ねていって、

大きな学びを得ているのね。和の動き、そしてきっと和の心も。

萬斎さんとの対談の動画は見ましたか?

 

 

日本のものは常に引き算の美学なので、飾りを極力なくしていったところに

俳句なり、お茶なり、日本建築の簡素な美しさがあるわけで、

それは西洋のものとはハッキリとした違いがあるじゃないですか。

 

世阿弥の『風姿花伝』に「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」という

有名な言葉があるけれど 、この2年の間に結弦くんは、

感情をほとばしらせるだけが表現ではないということを学んできたように思います。

昨シーズンの「Hope & Legacy」も「ノッテ・ステッラータ」も

表現はかなり抑えめだけれど、本当に引き込まれる演技だったもの。

 

今回は2位だったけれど、新バージョンのSEIMEIがもしノーミスできたら

どんな感動が待ち受けているかと思うと、ホントにわくわくしてしまう!